| 三澤寛志『鉛筆で描く』グラフィック社 | デッサン |
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白と黒だけで、どこまで表現できるのかーー。 光と影で色彩を追い、形を捉える。鉛筆と消しゴムだけで表現する、究極の二元論。 筆者の三澤 寛志は、武蔵野美術大学大学院卒業の人物油彩画家。主に女性モデルを起用し、今までに数多くの油彩画を発表してきた。常にクロッキー帳と鉛筆を持ち歩き、例えば電車の中ででも、手が空いている時には、いつだって形を捉えることに余念がない。自己の表現に深みを持たせるために人体解剖学を独習し、その作品を見れば、そこには存在感に満ちあふれた女性が常に飄々と描かれている。 本書は、そんな三澤 寛志が「鉛筆」と「消しゴム」だけで、どれだけの幅広い表現ができるのかを、筆者自身が鉛筆と消しゴムのみで描いた図入りで解説している。だから、この本には、一見色彩が存在しない。 しかし、よく見てみよう。そこには確かに、赤や黄色や青の華やかな色彩はないかも知れないが、代わりに非常に豊かな光と影の表情がある。存在感の本質がある。単純だからこそ、難しいし、単純だからこそ、奥が深い。今までの人生を、常に「形を捉える」ことと共に生きてきた筆者の、「光と影」の表現をこの本は堪能できる。 本書は、鉛筆デッサンの勉強のための、有効な学習素材となっている。 筆者自身、制作活動の他に、美術大学受験のための予備校や、絵画教室で指導することで日々の糧を得ている。自己の表現を極めていくことと共に、次世代のアーティストを育成することも彼の生き方であり、自己の制作活動に勝るとも劣らない価値を、彼は見い出している。 高度なデッサン力と「形」へのこだわり、そして、常に紙の空白を鉛筆で埋めてきた人間の、高密度な経験。そこに未来のアーティストへの情熱が加えられた本書は、デッサン初心者、そして、上級者達にさえ、自信を持って勧められる良書である。 |
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