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『幻。見えるはずのない幻。』

そこでは見るはずのない姿、誰もいない駅のホーム、列車に取り残された、乗り遅れたそんな時、向こうから吹く風、真昼の陽射しの下、暖かく、優しく、じっとたたずんでいる姿、そこには居るはずのない、見かけるはずのない姿、ちらっと振り返るそんな一瞬、見覚えのあるあの顔、ずっと会いたくて会えなかったその顔、笑うことも、微笑むこともせず、遠くを見つめているように、どこかを見つめているように、無表情で、まるで私が見えない様に、視線は私を貫いて、ずっと後に消え去って、驚くことすらつかの間の、思わず立ち止まるその時、通り抜けてゆく風、轟音、傍若無人に突き抜けて、通り過ぎて消えてゆく列車、壊れてゆくスローモーション、追いすがることもできない現実、行ってしまう、消えてしまう、居なくなってしまう、そんな姿、懐かしい人影、今はずっと遠くで、静かに生きているはずの、見える筈のなかった、そんな、一瞬で壊されてしまった、そんな、どこか懐かしい人影。

2005年09月26日

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