『夕景』太陽の光が黄金色を斜めに貫く夕刻、ビルの窓からガラス越し、透明の向こう側、薄青い空気が、なぜか薄青い空気が、地面に長く伸びている影と、黄金色の光彩を煌めかせる時折の日向と、音もなく行き交う人々と、それら全てを包み込んで、ガラスの画面の向こうで、それはまるで朝の風景であるかのように、まるで休息から覚めたばかりの、生まれたばかりの新しい光であるかのように、しかしながらけだるそうに、全てを薄く染め上げて、聞こえない音、聞こえない音、聞こえない音、まるで音の出ないフィルム、壊れた映写機のフィルム、繰り返す日常の音、画面の向こうの、遮断された空気の向こうの、現実味のなくなってしまった空気の、画面の中のふるえない空気、冷たいガラスに手を当てて、まるでそれが暁のようだと、消えゆくのではなく、まるでそれは新しい始まりのようだと、ただじっと立ち止まり、時の経過も忘れてずっと、魅入られたように、動けない、動けない、動けない私、そうしてずっと、見ているだけになった私。 2005年05月11日
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